こんにちは、Dr.流星です。
中学生の子どもとなると、「扱いが難しくて」「どう接していいか分からない」という声が多く聞こえてくる時期です。小学生まではまだ素直さがあったため、親としても素直に愛情表現できていたのに、中学生になってからはお互いに愛情表現が少なくなっていくことは多くの家庭で当てはまるのではないでしょうか。
そんな時期だからこそ、どのような声掛けや行動が必要なのかを理解して接する意義が出てきます。
今回も母親、父親に分けて解説していけたらと思います。


13〜15歳(思春期前期):この時期のポイント
13〜15歳は思春期の入り口で、身体的・精神的に大きな変化が訪れます。また、中学生前後では反抗的な言動や親離れの兆候が見られることも多くなります。
子どもは自立したい気持ちと不安や甘えたい気持ちの間で揺れ動き、親に対して複雑な態度をとることがあります。しかし、内心では親からの愛情と理解をこれまで以上に求めている時期でもあります。
脳の発達で言えば、この頃は情動を司る辺縁系が活発になる一方で理性を司る前頭前野が未熟で、不安定になりやすい時期です。この時期、母親は共感と安定した受容を、父親は信頼と尊重に基づく関わりを示すことが、愛情を伝える鍵となります。
母親からの言葉での伝え方:
傾聴と思いやりの言葉
思春期の子どもが話してくれたときは、途中で口を挟まず最後まで聞くことが第一です。その上で「それは辛かったね」「そんなことがあったんだね」と気持ちに寄り添う言葉をかけます。アドバイスよりも共感と理解の姿勢を示すことで、子どもは「話してよかった」と安心できます。仮に会話が少なくても、「何かあったらいつでも話してね。ママはあなたの味方だよ」と折に触れて伝えます。本人が嫌そうにしていても伝えます。
肯定的なメッセージを忘れない
反抗期であっても、良いところはしっかり言葉にします。「部活、頑張ってるね。必要なものとかあったら言ってね」「最近自分で早起きして偉いよね。何か対策したの?」など、小さな成長も見逃さず認めます。思春期の子は素直に喜ばないかもしれませんが、内心では親に認められたことを大きく受け止めています。親の肯定的な評価は、荒れがちな思春期の自己評価を安定させる支えとなります。
愛情とともに信頼を伝える
「心配だけど、あなたならきっと大丈夫だと信じているよ」「任せてみるから、自分でやってごらん」といった言葉で、愛しているがゆえに信頼して任せているというメッセージを送ります。干渉しすぎず見守るスタンスを言葉で表現することで、子どもは自分は信頼に値する存在だと感じ、自己肯定感が高まります。また、何も言わずにいると「放置されている」と感じることもあるため、「放っているんじゃなくて、信頼しているんだ」ということを言葉でしっかり伝えることが重要です。
謝罪や率直な対話
母親自身が間違ったと感じた時や言い過ぎた時は、「ごめんね、ママも言い過ぎた」「お母さんが間違ってたみたい。マジでごめん」と素直に謝ります。また、子どもに守ってほしいルールについて話すときは、「あなたのことが大事だから言っているの」「守れるって思ってるからこそ話し合っておきたいの」と気持ちを率直に伝えます。思春期の子は大人扱いされることで心を開きやすくなるため、対等な一人の人間として尊重する言葉遣いを心がけます。
直接的でなくとも愛情を伝える
思春期になると親からの「大好き」に照れる子もいます。その場合、手紙やLINEメッセージで「いつも応援しているよ」「どんなときもあなたのことを愛しています」と伝える方法もあります。誕生日や発表会の前などイベントのタイミングが伝えやすいでしょう。言葉で伝えるのが難しい時期だからこそ、あえて文字やイラストで伝えることで、子どもの心に残る愛情メッセージになります。
母親からの行動での示し方
プライバシーと自立を尊重する
部屋に入るときはノックをする、日記やスマホを勝手に見ないなど、思春期の子どもの領域を尊重する行動は愛情の表れです。こういった点で失敗が重なると子どもは反発しやすくなります。過干渉を控え、信頼して見守る姿勢を示すことで、子どもは「尊重されている」と感じます。一方で、食事や帰宅時間など最低限のルールはしっかりと伝え、「ルールがあるのもあなたを大事に思ってこそ」と説明します。このバランスが取れた接し方が、子どもの自主性と親子の信頼を育みます。
子どもの興味・活動を支える
例えば、好きなアニメを一緒に観てみる、好みの服を一緒に選ぶ、部活の試合を観戦しに行くなど、子どもの関心事に歩み寄る行動をとります。たとえ、母親自身の趣味とは違っていても、「あなたが好きなものを理解したい」と行動で示すことで、子どもは「自分を分かろうとしてくれている」「自分の好きなものを尊重してくれている」と感じます。結果的に会話のきっかけも増え、愛情と信頼関係が深まります。逆に「そんなくだらないことしてないで勉強しなさい!」などと子どもの興味を否定することは絶対に避けましょう。
家庭内での役割を任せる
思春期前期は大人への過渡期でもあります。夕食の献立を子どもと考える、弟妹の宿題を見てもらうなど、家庭内で責任ある役割を与えると、子どもは信頼に応えようとします。うまくできたら「助かったよ、ありがとう」と感謝し、失敗しても頭ごなしに責めず「どこが難しかった?一緒にやってみようか」と一緒にリカバリーします。責任を与えて見守る母親の姿勢自体が、「あなたを信じている」という愛情メッセージです。
変化に寄り添うサポート
この時期、身体の成長や第二次性徴に戸惑う子も多いです。母親として、生理用品の準備や下着選びに付き合う、ニキビのケア用品を一緒に探すなど、思春期特有の悩みに具体的に寄り添います。恥ずかしがる子もいますが、母親が冷静にサポートすることで「困ったときは頼っていいんだ」と理解します。デリケートな変化を支える行動は、深い安心感と愛情を伝えます。子どもが自分から言いにくいことを親が先に言ってあげる、教えてあげることが強い信頼や安心感につながります。
家庭の雰囲気を安定させる
子どもが情緒不安定でも、母親はできるだけ感情の起伏を抑え、温かい家庭の雰囲気を維持するよう努めます。例えば、子どもが不機嫌でも母親は明るく「おかえり、ご飯できてるよ~」といつも通り接する、家族団らんの時間を持つようにする(夕食時に今日の出来事を話す習慣など)などです。家庭が安心できる場所であり続けることが、思春期の子にとって最大の心の支えになります。子どもはなかなか気づいてくれないと思いますが、根気強く続けていくことが肝要です。
父親からの言葉での伝え方
日常の中で気軽な会話を心がける
思春期の子どもは改まった対話を嫌がることもあるので、車での送り迎え中やソファに座ってテレビを見ながらなど、横に並んだ状況で「最近どう?好きなこと見つかった?」などと話しかけると話しやすくなります。直接目を見て問いかけると反発されたり拒否されたりするリスクが高くなるため、気軽な雑談の延長で「最近おいしいもの探してるんだけど、何かおすすめない?」「友達と最近はどんなゲームしてるの?」など軽いトーンで関心を示します。子どもが話し始めたら相槌を打ちつつ聞き、必要なら自分の経験談も交えて会話を広げます。ただし、経験談は自慢話:失敗談=1:2~3くらいにしておきましょう。
叱責より対話で理解を示す
子どもが反抗的な口答えをしたり失敗をしたりしたとき、「なんだその態度は!」と感情的に怒鳴るのではなく、一息置いてから冷静に話し合います。「なんでそんなことしたのか、理由を聞かせてくれるか?」と尋ね、子どもの視点や言い分を理解しようとする言葉を投げかけます。父親が頭ごなしに否定せず話を聞く姿勢を示すことで、子どもは「分かってくれようとしている」と感じ、信頼感が生まれます。衝突は何も生みません。
称賛と激励を適度に
思春期前期の子は照れもありますが、内心では父親からの称賛を求めています。テストで良い点を取った、難しい大会に出場した等の機会には「よく頑張ったな、すごいじゃないか!」「さすがだな」とストレートに褒めます。逆に失敗や挫折を経験したときは「誰にでも失敗はある。次に向けて○○(名前)ならできると信じてる」と伝えます。父親の激励の言葉は、子どもにとって大きな支えとなり、再挑戦する勇気を与えます。
愛情と誇りを言葉で示す
例えば、子どもが中学校を卒業するときなどの節目に「ここまで成長してくれて本当に嬉しいし、誇らしく思うよ。本当に自慢の息子(娘)だよ」と声をかけます。普段は照れて言えなくても、節目のタイミングで愛情と誇りを言葉にすることは強いメッセージになります。子どもは「自分のことをしっかり見てくれている」と感じ、今後困難に直面したとき思い出して踏ん張る力にするかもしれませんし、親に頼りやすいかもしれません。
ユーモアと軽いコミュニケーション
反抗期の子には真面目な話ばかりでなく、冗談や軽口も有効です。例えば、髪型を変えた息子に「あれ、イケメンになったんじゃない?流行に乗ってるね~」と茶化しつつ褒める、娘に対して「その服いいね~。そういう大人びた服も似合うようになったか~」と冗談めかして話しかけるなどです(家庭によってユーモアは違ってくるとは思いますが)。子どもは鬱陶しがるかもしれませんが、父親が自分に関心を持っていることは伝わります。ポイントは「褒める」要素をしっかり入れることです。容姿や趣味を否定したり(「そんなことが好きなんてまだまだお子ちゃまやな」など)、嫌がるような冗談やイジリ(「その服装はいけてないお笑い芸人みたいで見てられんわ」など)は逆効果なので避けます。
父親からの行動での示し方
一緒に体を動かす・趣味を共有する
思春期の子どもが運動や趣味を持っていれば、それに父親も参加してみます。例えば、一緒にランニングや筋トレをする、休日にドライブをして流行りのお店に行ってみる、子どもがハマっているゲームで対戦してみる等、共通の活動を持つと会話が弾みやすくなります。それに、小学生の体格になると、父親しかできない運動や遊びも多くなってきます。運動や趣味の時間を共有することで、子どもは心を開きやすくなります。また、父親と活動を共にした経験は、将来子どもが困難に直面した際に「あのときお父さんはこうしていたな」と心の支えになることもあるでしょう。
節目の行事や成果を一緒に喜ぶ
中学校入学・卒業、部活の大会など、子どもの人生の節目に父親もできるだけ関わりを持ちます。卒業式に出席し一緒に写真を撮る、試合で勝ったら一緒に喜ぶ、負けたら慰めて次を応援する声かけをする、といった行動を通じ、「どんな時も見守っている」というメッセージを送ります。研究でも、思春期に父親と親密であることが子どものメンタルヘルスを様々なケースで良好に保つことが示唆されています。ぜひ、子どものために日程を空けておくようにしたいですね。
自由と責任を体験させる機会を作る
例えば、初めての遠出や外泊を許可する、夜遅くまでの塾通いを任せるなど、子どもに自由を与える決断をします。もちろん安全面の配慮(連絡の取り決め等)はしますが、「信頼して任せる」姿勢を示すことが重要です。子どもが無事やり遂げて帰ってきたら、「ちゃんと自分で管理できて偉かったね」と伝えます。守れなかった点はすぐに振り返り、次の目標を立てておきます。こうした経験により、子どもは父親から信頼されている自覚を持ち、自己信頼感へとつながります。
いざという時の支援を惜しまない
思春期にはトラブルもつきものです。学校での問題や非行の芽が出たとき、父親は真正面から向き合い必要な対処をします。例えば、学校と連携していじめ問題を解決したり、万引きなど問題行動を起こしたとき厳しく諭し更生に付き添ったりします。子どもにとっては苦い経験ですが、父親が見放さず向き合ってくれた事実は後々大きな愛情の記憶として残ります。「どんな自分でも最後まで向き合ってくれる」親の存在は、自己肯定感の下支えとなります。もちろん、大きな挑戦(留学や県外での大会など)への支援も惜しみません。
物理的な距離を保ちつつ見守る
思春期の子は異性親との接触を嫌がるケースもあります。父親として娘にどう接するか難しい場面では、直接的なスキンシップは控えつつも、例えば、送り迎えを黙って引き受ける、試合会場に駆けつけるが会いに行くことはしないなど、程よい距離からの支援を行います。これにより、子どもはプライバシーは尊重されつつも必要な時にはそばにいてくれる安心感を持てます。過干渉は父親でも心の距離をつくられてしまいます。
おわりに
親から子どもへの愛情表現は、年齢とともに形を変えつつも生涯にわたって子どもの発達と幸福の基盤となります。母親・父親それぞれが、自分の関わり方を見直し、言葉と行動で愛情を伝える工夫をすることで、子どもは健やかな脳の発達と豊かな自己肯定感を育んでいくでしょう。
ここで挙げた具体例や科学的知見を参考に、ぜひ日々の子育てを振り返ってみてください。愛情あふれる言葉と行動の積み重ねが、親子双方にとってかけがえのない財産となり、子どもの将来に明るい光を灯すはずです。
次回は、思春期後期の時期についてまとめていきたいと思います。


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