こんにちは、Dr.流星です。
前回、子どもへの愛の示し方として、未就学児(0~6歳)をまとめていました。
今回は、小学校に通う年齢層である7~12歳の時期に焦点を当てて考えていきたいと思います。
精神的な未熟さ、不安定さが目立つこの時期ですが、親からの愛情表現によって、いい方向にもあまり良くない方向にも向かって行ってしまいます。親から離れて過ごす時間も増えてくる小学生の時期に、子どもへの愛情表現を工夫して、子どものメンタルヘルスを保ちましょう!

7〜12歳(学齢期)
この時期のポイント
小学生の時期は、社会生活が本格化し、学業や友人関係など外の世界での経験が増える時期です。同時に、家庭の愛情が心の拠り所として非常に重要になります。子どもは認知能力が発達し、自分を客観的に見たり他者と比較したりし始めるため、親からの承認が自己評価に大きく影響します。
ここでは、母親は引き続き情緒面の支えと細やかな気配りを、父親はタイミングごとの励ましと一緒に活動することでの支援を通じて愛情を表現するポイントをみていきましょう。
母親からの言葉での伝え方
毎日のコミュニケーションを欠かさない
「学校で楽しかったこと何かあった?」「今日はどんな勉強したの?」と、子どもの日常に関心を寄せる質問をします。子どもが話し始めたら最後まで遮らずに聞き、「そうだったのね」「それはよかったね!」「それは辛かったね」と合い槌や共感の言葉で受け止めます。親に話を聞いてもらえる安心感が自己開示を促し、信頼関係を深めます。「お母さんには何でも話していいんだ」という心の土台が今後の愛を育てる土壌になるのです。
成果だけでなく努力や過程を評価する
テストで満点を取ったら「毎日少しずつ勉強した結果だね。続けることは本当に偉いよ」と努力に光を当て、仮に点数が振るわなくても「前に苦手だった計算問題ができてるね」「難しい問題によく挑戦したね」と前向きな部分を伝えます。結果が悪い時に『結果だけ』をみて頭ごなしに否定しないことが肝心です。親が成績(結果)より成長(過程)を認める態度は、子どもの自己肯定感を守り、継続した学習意欲を引き出します。
感謝や励ましの言葉を伝える
子どもが家のお手伝いをしてくれたら、どんなに小さな手伝いでも「助かったよ、ありがとう!」「お手伝いしてくれて、お母さん嬉しいな」としっかり感謝して嬉しい気持ちを伝えます。家族の一員として役割を果たしたことを認め感謝することで、子どもの自己価値感が高まります。また、運動会や発表会の前には「応援してるからね。楽しんできてね」と声をかけ、挑戦する勇気を与えます。結果に関係なく終わった後は「よく頑張ったね!輝いてたよ!」と健闘を称える言葉を忘れません。
悩みに寄り添い、建設的な言葉を
友達とのトラブルや勉強の悩みを打ち明けられたとき、「そんなことで悩んでたの?」「そんなの気にすることない」などと切り捨てず、「つらかったね」「ママも経験あるよ。悩むよね」と気持ちを受け止めます。その上で「一緒に考えてみようか」と提案したり、「ママは何があってもあなたの味方だよ」と伝えたりして支えます。子どもの問題解決能力も育まれ、親に話すことで安心できることを学びます。
愛情を言葉で再確認する
10歳前後になると照れも出てきますが、それでも折に触れて「大事な娘(息子)だよ」「愛してるよ」と伝えることは大切です。例えば誕生日や就寝前などに「生まれてきてくれて本当にありがとう。あなたがいてくれて幸せだよ」と伝えると、子どもは心の奥で安心感と喜びを感じます。直接言うのが難しい場合、手紙やメッセージカードに書いて渡すのも効果的です。
母親からの行動での示し方
日常生活での世話を継続する
小学生になると身の回りのことはかなり自分でできますが、栄養バランスの取れた食事を作る、季節に合った服装を用意する、体調に気を配る、などはできていないことが多く、親が自然と支える行動は依然重要です。子どもが「ありがとう、おいしかった!」と言えば「あなたが健康でいてくれるのが一番嬉しいのよ」と返すなど、世話の中にも愛情のメッセージを込めます。
学業・活動への積極的なサポート
宿題を見てあげる時は答えを教えるのではなくヒントを出す、横で付き添って頑張りを見守るなどの工夫をします。難しい問題に取り組んでいるときはそっとお茶を出したり、お疲れ様と肩を揉んであげたりするのも良いでしょう。「頑張るあなたを応援している」という姿勢が子どもに伝わり、自立心と安心感を与えます。
学校行事やイベントへの関与
授業参観や運動会、学芸会などには可能な限り出席し、子どもの活躍を見届けます。客席から笑顔で見守り、終わったら「よく頑張ったね」と抱きしめて称えるなど、晴れ舞台を共有する行動は大きな愛情表現です。もし仕事などで来られない場合でも、「行けなくてごめんね。あとで沢山話を聞かせて」と伝えてフォローします。
スキンシップや触れ合いの工夫
高学年になるとあからさまなハグを嫌がる子もいますが、例えば頭を優しくなでる、ハイタッチをする、ソファで隣に座ってテレビを見るときに肩が触れる程度に寄り添うなど、嫌がられない範囲でスキンシップを続けます。身体的なふれあいは愛情の原点であり、思春期前でも子どもに安心感を与えます。拒否された場合は無理強いせず、時折手紙やメールで愛情を伝えるなど別の形に切り替えます。
子どもの自主性を尊重する行動
例えば習い事や放課後の過ごし方について、子ども自身に選択させる機会を与えます。「○○ちゃんがやりたいならママも応援するよ」と言い、必要な準備や送迎はしっかりサポートすることで、挑戦する自由と親の支えの両方を感じさせます。過干渉になりすぎず適度な自立を促すことも、愛情の一つの形です。
父親からの言葉での伝え方
成果や努力を具体的に称賛する
テストで良い点を取ったり目標を達成したとき、「よく頑張ったね!毎日勉強していた成果が出たね」と具体的に努力を褒めます。逆にうまくいかなかったときも「今回は残念だったけど、次に向けてまたサポートするからね」と励まし、結果に関わらず愛情とサポートは変わらないことを言葉で示します。
父親自身の経験を共有する
子どもが壁にぶつかっているとき、「お父さんも子どもの頃○○が苦手でね…」と自分の昔の失敗談や努力談を話すことで親近感を与えます。その上で「だから気持ちはよく分かるよ。お父さんはこうしたら上手くいったけど、どうかな?」とアドバイスすれば、上からの指示ではなく共感に基づく励ましとして受け取られます。また、子どもは父親に話せば「自分の気持ちを理解してくれる」と感じ、心を開きやすくなります。
人格や長所を認める言葉で自己肯定感を強める
「ありがとう!が言えて偉いね」「妹のことを気にかけてくれてパパもママもすごく助かるよ!」と、人格的な長所に触れる言葉をかけます。ただ成績や結果だけでなく、自分の内面的な価値を父親が認めてくれることは、子どもの自己肯定感を強めるきっかけとなります。特に男の子は父親からの声掛けが心に残ります。
「愛情」と「誇り」を織り交ぜて伝える
男の子には「自慢の息子だよ」「○○がパパの子どもですごく誇らしいよ」、女の子には「○○はパパのお姫様だね」「○○ちゃんがいるからパパもお仕事頑張れるよ」など、少し照れくさいですが父親ならではの愛情表現の言葉を伝えてみます。思春期前のこの時期であれば、子どもも素直に受け止めてくれるでしょう。父親から認められることで、子どもは安心感とともに自信を深め、日々挑戦する原動力になります。
冷静な注意と言葉でのフォロー
悪い行いをしたとき、感情的に怒鳴るのではなく毅然と注意し、「本当はこんなことする子じゃないよね?」「どうしてこうなったのかお父さんと考えてみよう」と子どもの善性を信じる言葉を添えます。その後で「パパは○○のことが大事だからこそ分かって欲しいんだ」と伝え、叱った後も愛情は変わらないと念押しします。これにより、ルールを教える場面でも愛情と信頼が根底にあることを示せます。「父親が怒鳴る」ことは子どもにとっての恐怖やストレスにしかならず、父親こそ冷静に声掛けすることを心がけなければなりません。ましてや暴力などは厳禁です。
父親からの行動での示し方
共同作業や趣味を通した関わり
子どもと一緒にできる趣味やプロジェクトに取り組みます。例えば、模型やDIYで家具を一緒に作る、週末に親子でジョギングやドライブに行く、サッカーの練習をする、キャッチボールをするなど、肩を並べて何かをする時間は愛情を深める絶好の機会です。父親からコツを教えてもらったり、一緒に汗を流した経験は子どもにとって貴重な思い出となり、「お父さんに聞けば教えてもらえる!」と信頼関係を強めます。
イベントに参加する、サポートする
仕事で忙しいとは思いますが、運動会でビデオを撮る、試合に出るときは必ず応援に駆けつける、誕生日には仕事から早く帰ってくるなど、大切な日の思い出を共有し、チャレンジをサポートをします。特に父親が忙しい中時間を作って来てくれたり、自分のために準備をしてくれたと分かると、子どもは「愛されている」という実感を強く持ちます。言葉だけでは伝わらない思いが自然と伝わるため、こういった「行動」が何よりも重要です。
自立心を尊重する行動
中学年・高学年になってきたら、子ども自身にある程度任せる場面も増やします。父親が一歩引いて見守りつつ、必要なときはサポートする姿勢をとることで、子どもは「信頼されている」と感じます。手を貸したくなっても、ぐっと堪えて見守る機会を増やしていきましょう。例えば、夏休みの自由研究を子どもに企画してもらい、少し助言しつつ材料集めに付き合い、作成も助けを求められること以外は任せて、完成したら一緒に達成を喜ぶ、といった関わり方です。「自分でできる」という自信を育みながら、「助けてほしい時は助けてもらえる」という安心感があることで子どもの挑戦する姿勢を維持することができます。
定期的な対話の時間を持つ
毎晩寝る前の5分でも「今日あったこと」を話し合う習慣を作ったり、習い事の送り迎えをしながらお互いの近況を話す時間を設けたりします。ルーティン化することで子どもは「いつも話せる時間がある」と安心し、困り事があっても相談しやすくなります。親子の対話時間を確保する父親の行動自体が、愛情を注ぐ姿勢の表れです。この習慣化を怠ると学校での出来事を聞いても「別に」「何もない」といった返答しかない事態になりかねません。
必要なときは「守る」「支える」
いじめにあった、クラスで嫌なことがあった、上手くいかずに諦めた等、子どもが深く傷つく出来事があれば、父親が学校に相談したり一緒に解決策を考えたりします。「何があってもお父さんとお母さんは○○の味方だよ」と声をかけながら抱きしめ、背中を押します。毅然と子どもの味方になる姿勢を示すことで、子どもは「自分には守ってくれる存在がいる」と心強く感じます。ただし、先回りしすぎず、子ども自身の意向も尊重して行動することがポイントです。
コラム : 小学生時期の愛情表現と効果 ~無条件の愛~
学齢期の子どもは、親から十分な愛情とサポートを得ることで学業面・社会面で大きな力を発揮できるようになります。研究でも、親の関与が高い子どもほど学業成績が良く、情緒も安定しやすいことが報告されています。特に、父親の積極的な関わりは子どもの自己評価や社会性に独自の良い影響を与えるとされ、父親がよく関与する子は自己肯定感が高く問題行動も少ない傾向があります。一方、親が成果ばかりを要求したり、愛情を条件付きでしか与えなかったりすると、子どもは「認めてもらえない自分はダメだ」と感じてしまいます。実際、親の愛情が「条件付き」だと子どもの自己肯定感の健全な発達が阻害されるとの研究結果もあります。この年代では、無条件の受容と適切な励ましを示すことで、子どもの脳は健全に発達し(前頭前野による計画力や海馬による記憶力も、ストレスが少ない環境で伸びやすくなります)、精神的にも「自分は愛されているから頑張れる」という強い自己肯定感が育つのです。
一旦まとめ
親から子どもへの愛情表現は、年齢とともに形を変えつつも生涯にわたって子どもの発達と幸福の基盤となります。母親・父親それぞれが、自分の関わり方を見直し、言葉と行動で愛情を伝える工夫をすることで、子どもは健やかな脳の発達と豊かな自己肯定感を育んでいくでしょう。ここで挙げた具体例や科学的知見を参考に、ぜひ日々の子育てを振り返ってみてください。愛情あふれる言葉と行動の積み重ねが、親子双方にとってかけがえのない財産となり、子どもの将来に明るい光を灯すはずです。
前回に引き続き、まとめながら長くなってしまいました。。。
次回以降も年齢ごとにまとめていきたいと思いますので、ぜひ参考にしてください!

参考文献・情報源
Ainsworth, M. D. S. (1979). Infant–mother attachment. American Psychologist, 34(10), 932–937.
Bowlby, J. (1988). A secure base: Parent-child attachment and healthy human development. New York, NY: Basic Books.
Chapman, G. D., & Campbell, R. (2012). The 5 love languages of children: The secret to loving children effectively. Chicago, IL: Northfield Publishing.
Chen, Y., Kubzansky, L. D., & VanderWeele, T. J. (2019). Parental warmth and flourishing in mid-life. Social Science & Medicine, 220, 65–72.
Coffey, J. K., Xia, M., & Fosco, G. M. (2022). When do adolescents feel loved? A daily within-person study of parent–adolescent relationships. Emotion, 22(5), 861–873.
Escalante, A. (2019, February 26). Parents’ love goes a long way: New research links affectionate parents with a happy and flourishing adulthood. Psychology Today. https://www.psychologytoday.com/us/blog/shouldstorm/201902/parents-love-goes-a-long-way .
Harlow, H. F. (1958). The nature of love. American Psychologist, 13(12), 673–685.
National Scientific Council on the Developing Child. (2004). Young children develop in an environment of relationships (Working Paper No. 1). Cambridge, MA: Center on the Developing Child, Harvard University.
佐々木 正美 (1998). 『子どもへのまなざし』. 東京: 福音館書店.
Show your children they are loved. (2021, January 27). The Family Institute at Northwestern University. https://www.family-institute.org/behavioral-health-resources/show-your-children-they-are-loved


