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【専門医が解説】「うちの子は寝不足?」「何時に寝せたらいいの?」「昼寝は必要?」に答える、年齢別にみる子どもの睡眠:健全な発育・発達のために

こんにちは、Dr.流星です。

新生児から高校生まで、年齢ごとにどれだけの睡眠が必要なのか、どんなリズムが望ましいのか、睡眠が心と体にどう影響するのか――今回は医学的な根拠に基づき、発達段階に応じたポイントを解説していきます。

各年齢ごとの詳細記事をまとめて掲載していますので、気になるところからぜひチェックしてみてください。

ご存じの通り、子どもの健やかな成長には「眠り」が欠かせません。日々の子育ての中で睡眠について考えるきっかけとなり、ご家庭のリズムづくりや見直しに役立てていただければ嬉しく思います。

それでは、みていきましょう!

目次

各年齢段階で共通して言えることは、適切な睡眠習慣(十分な睡眠時間の確保と規則正しい就寝・起床リズム)が子どもの健全な発育・発達に不可欠だという点です。

睡眠中には成長ホルモンの分泌や記憶の整理、細胞の修復が行われ、心身の成長を支えます。そのため、慢性的な睡眠不足は身体的成長の遅れ、認知機能の低下、情緒面の不安定、問題行動の増加、生活習慣病リスクの上昇など多岐にわたる悪影響を及ぼします。

一方で過剰な睡眠も、子どもの場合は多くありませんが、極端な長時間睡眠は何らかの不調(倦怠感や無気力感など)を示す可能性があります。

子どもの年齢に応じた適切な睡眠時間と生活リズムを家庭・学校で支援し、「寝る子は育つ」という言葉通り十分な睡眠をとることが、子どもの健康な発育・学習・生活の土台となります。

推奨睡眠時間

新生児期の赤ちゃんは一日合計で約14〜17時間眠ることが推奨されます。

米国小児科学会によれば、新生児は1回あたり1〜2時間しか連続で眠れず、昼夜を問わず数時間おきに目覚める不規則なリズムです。

生後間もない赤ちゃんにとって「睡眠が仕事」と言えるほど長時間の睡眠が必要であり、この時期は授乳やおむつ替えで頻繁に起きるため断続的な睡眠パターンになります。

理想的な睡眠時間帯

新生児には明確な就寝・起床時間のリズムはまだ確立していません。生後半年頃までは規則正しい睡眠サイクルが発達しないため、理想的な睡眠時間帯という概念は当てはめにくいです。

ただし、昼は適度に明るく活動し、夜は暗く静かな環境を整えることで昼夜の区別を促し、生体リズムの発達を支えることが推奨されます。

授乳間隔に応じて2〜3時間ごとに起きる中でも、夜間は照明を落とし、大きい音を立てないなど刺激を減らすことで、徐々に夜に長く眠るリズムを育てます。

昼寝の必要性

新生児期の睡眠は昼寝と夜の区別がなく、1日の大部分を小刻みな睡眠で過ごします。

したがって、新生児における「昼寝」は特別なスケジュールではなく、1日の睡眠サイクル全体が複数回の睡眠エピソードで構成されています。

授乳後や抱っこの最中など随時眠りに落ちるのが通常であり、この時期は赤ちゃんの欲求に従って寝かせることが大切です。

睡眠不足・過剰睡眠の影響

新生児は必要なだけ眠る傾向がありますが、極端に睡眠が不足すると機嫌の悪化や授乳リズムの乱れにつながる可能性があります。睡眠が短すぎて泣いてばかりいる状態が続くと、十分な授乳ができず成長に影響する恐れもあります。

また、反対に長時間起きずに眠り続ける場合、授乳間隔が空きすぎて栄養摂取が滞り体重増加不良を招く可能性があります。

適切な睡眠と覚醒のリズムを整えることは、新生児の脳と身体の健全な発達に重要です。この時期の睡眠は脳の発達と深く関わっており、睡眠中に分泌される成長ホルモンや記憶の形成が新生児の発育を支えていると考えられます。

例えば、生後6か月〜1歳の乳児を対象とした研究ではありますが、学習後4時間以内に30分以上の昼寝をとった乳児は、昼寝をとらなかった乳児より新しい行動を記憶する能力が優れていたことが示されています。

このように、新生児期から十分な睡眠を確保することが、その後の認知機能の発達基盤になると考えられます。

推奨睡眠時間

生後4か月を過ぎると睡眠パターンがやや整い始め、乳児期(4〜12か月)では1日あたり合計12〜16時間の睡眠が推奨されます。この推奨値には昼寝も含まれており、個人差はあるものの半日以上を睡眠に費やすのが望ましいとされています。

世界保健機関(WHO)も同様に、生後4〜11か月児で12〜16時間程度の良質な睡眠が必要だと勧告しています。

この時期の乳児は、新生児期よりも覚醒時間が延び日中に活動できるようになりますが、それでも成長に見合った十分な睡眠量が不可欠です。

理想的な睡眠時間帯

乳児後半には夜間の睡眠が次第にまとまって長くなり始めます。生後6か月頃になると夜通し6〜8時間続けて眠る乳児も現れ、生活リズムが整ってきます。

理想的には夜間の睡眠が約9〜11時間、日中に数回の昼寝というパターンが目標となります。日本の小児科専門医によれば、将来の生活リズムを見据えて朝7時までに起こす習慣を付けることが重要であり、必要な睡眠時間(例えば夜間平均10時間)を確保するには「遅くとも夜9時までに就寝」が理想的だとされています。

実際には個々の乳児のリズムによりますが、夜はできるだけ早めの就寝を習慣づけ、朝は一定の時刻に起こすことで安定した昼夜リズムを育てることが推奨されます。

昼寝の必要性

この時期は昼寝が発達に必要不可欠です。4〜12か月の乳児は通常1日2〜3回程度の昼寝をとります。

例えば午前と午後にそれぞれ1〜2時間程度眠ることが多く、夜間の睡眠と合わせて推奨される総睡眠時間を確保します。米国の小児睡眠ガイドラインでも、「乳児は夜間睡眠だけでは必要な睡眠量を満たせないため、日中の複数回の昼寝で補う」としています。

生後半年〜1年にかけては徐々に昼寝の回数が減少し、1回あたりの昼寝時間が長くなる傾向があります。多くの乳児は生後9〜10か月頃には朝夕2回の昼寝になり、1歳を過ぎる頃には1日1〜2回の昼寝に移行します。

睡眠不足・過剰睡眠の影響

乳児期の睡眠不足は、機嫌の低下や食欲不振など日常の行動に直ちに影響します。

睡眠が不十分な乳児は日中にぐずりやすく、注意力が散漫になり刺激に過敏になることがあります。また、この時期の脳は急速に発達しているため、慢性的な睡眠不足は脳の発達や学習能力に影響し得ます。例えば、乳児期の短い睡眠時間は、その後の幼児期における認知発達の遅れや問題行動と関連する可能性が指摘されています。

一方、過剰な睡眠については、基本的に乳児は自ら必要なだけ眠るとされますが、極端に長時間眠りすぎる場合には授乳量の低下や発達の遅れが懸念されます。特に日中長く寝すぎて夜間の睡眠リズムが崩れるといった場合には注意が必要です。

適切な昼寝を含む睡眠をとった乳児は、学習した内容の記憶保持が良好で情緒も安定しやすいことが研究で示されており、十分な睡眠確保がその後の言語習得や運動発達を促進すると考えられます。反対に慢性的な睡眠不足が続けば、後の発育段階で肥満のリスクが高まることも報告されています(乳幼児期の短時間睡眠は小児肥満のリスク因子)。

このように、乳児期には長時間の良質な睡眠と適度な昼寝をバランスよくとることが、健全な発達の土台となります。

新生児(0〜3か月)

  • 必要な睡眠時間: 1日14〜17時間。数時間おきに断続的に睡眠。
  • 睡眠時間帯: 昼夜の区別はまだなし。夜は環境を静かにしてリズム形成を促す。
  • 昼寝: 明確な区別はなく、1日のほとんどを断続的に寝て過ごす。
  • 影響: 睡眠不足は機嫌・授乳リズムに影響。長時間寝すぎも栄養不足のリスク。

乳児(4〜12か月)

  • 必要な睡眠時間: 1日12〜16時間(昼寝含む)。
  • 睡眠時間帯: 夜9時までの就寝+朝7時までに起床が理想。夜間連続睡眠が徐々に形成。
  • 昼寝: 1日2〜3回。月齢に応じて徐々に回数が減る。
  • 影響: 睡眠不足は機嫌や学習力に悪影響。昼寝が多すぎると夜間のリズム崩れに。

推奨睡眠時間

1〜2歳の幼児には、1日あたり合計11〜14時間の睡眠が推奨されています。

米国睡眠医学会(AASM)のコンセンサスによれば、1〜2歳児は昼寝を含めて11〜14時間の睡眠を確保することが最適な健康状態を促すとされており、日本の厚生労働省の「睡眠指針」でもこの国際基準を踏まえ、1〜2歳児で11〜14時間程度の睡眠時間を目安にするよう推奨しています。

2歳前後になると身体活動量が増えますが、そのぶん睡眠でしっかり疲労を回復させ、成長ホルモン(疲労を回復させる作用もある)の分泌を促す必要があります。

理想的な睡眠時間帯

幼児期前半では早寝早起きの習慣が重要になります。理想的には夜19〜21時頃までに就寝し、朝6〜7時台に起床するリズムが望ましいです。

この年代の子どもはまだ夜遅くまで起きているだけの体力や成熟度がないため、夜は早めに寝かせ日が昇る頃に起きる生活が適しています。厚労省の指針でも、「幼児期から早寝早起きを習慣づけ、朝決まった時間に起きて日光を浴び、夜更かしを避ける」ことが推奨されています。具体的には、朝の起床時刻を一定に保った上で、必要な睡眠時間から逆算して就寝時刻を決める方法が勧められています。例えば、朝7時に起こすなら、1〜2歳児の場合は夜9時までに寝付けば約10時間の夜間睡眠がとれる計算です。

理想を言えば、朝は自然と6~7時に目が覚めるようにしたいです。朝6時半に子どもが「ママ(パパ)起きて!」と起こしてきたとしても、「いい時間に自然と起きてる!いいこと!」と思えたら、眠くても褒めてあげたいとさえ思えるかもしれませんね。

日中たくさん遊んで身体を動かすほど夜は自然と眠くなるため、日中の適度な運動も規則正しい就寝につながります。

昼寝の必要性

1〜2歳児は引き続き昼寝が必要です。ただし、新生児や乳児期に比べて昼寝の回数は減り、多くの幼児は1日1回の昼寝に移行します。

一般的に1歳代では午前と午後に2回昼寝をしていた子どもも、18〜24か月頃までにお昼頃1回の昼寝にまとまっていきます。米国睡眠財団のデータによれば、94%の幼児は5歳までに昼寝をやめるものの、2〜3歳では大半の子がまだ1日1回は昼寝をしていると報告されています。

このため1〜2歳ではお昼過ぎに1〜2時間程度の昼寝時間を確保するとよいでしょう。

昼寝は夜の就寝時間とのバランスが大切で、遅い時間帯の長い昼寝は夜更かしの原因になるため避けます。一方で昼寝を早々にやめてしまうと、夜まで起きている間に疲れすぎてしまい夕飯やお風呂などの活動中に寝てしまったり、かえって機嫌が悪くなると癇癪を起こして入眠が難しくなったりすることもあるため注意が必要です。

適切な時間帯(午後の早い時間)に短めの昼寝をとらせることで、夜まで機嫌良く活動でき、かつ夜もスムーズに眠れるリズムをつくります。

睡眠不足・過剰睡眠の影響

幼児期の子どもは睡眠不足になると顕著に行動や気分に影響が現れます。十分に眠れていない1〜2歳児は、日中機嫌が悪くなったり癇癪(かんしゃく)を起こしやすくなったりします。また注意力が散漫になり、遊びや学びに集中できなくなります。

睡眠不足が続く幼児は、事故やけがのリスクも高まることが指摘されています。実際、睡眠不足の子どもは昼間の転倒や事故が増えるとの報告もあります。また、この時期は言葉や基本的生活習慣を身につける重要な時期ですが、慢性的な睡眠不足はそうした発達課題の達成を遅らせる可能性があります。

一方、過剰な睡眠については、夜間に必要以上に長く眠りすぎる幼児は稀ですが、例えば昼寝が長すぎて夜眠れないという場合には生活リズムが逆転し発達によくありません。過度の昼寝で夜の睡眠が削られると、成長ホルモン分泌のリズムが乱れ身体の発育に影響する可能性があります。

総じて、1〜2歳では睡眠不足は情緒不安定や問題行動(かんしゃく・多動傾向)の一因となり得ること、そして睡眠時間が推奨範囲より極端に長い場合は潜在的な睡眠障害や生活リズムの乱れを示唆することが知られています。

幼児(1〜2歳)

  • 必要な睡眠時間: 1日11〜14時間(夜+昼寝)。
  • 睡眠時間帯: 夜は19〜21時に就寝、朝6〜7時に起床が理想。
  • 昼寝: 基本1回。午後の1〜2時間が一般的。
  • 影響: 睡眠不足は癇癪・情緒不安定・多動傾向に。昼寝が遅いと夜間の入眠困難に。

推奨睡眠時間

3〜5歳の就学前児童では、1日あたり10〜13時間の睡眠が推奨されます。

AASMのガイドラインでは3〜5歳児は昼寝を含め10〜13時間の睡眠をとることが最適とされ、これにより心身の健康や発達が促進されるとしています。日本の指針でも同様に、幼稚園・保育園児にあたる3〜5歳児で10〜13時間程度の睡眠時間確保を推奨しています。

この年代では個人差が出始め、一部の子どもは必要下限近くの10時間程度でも日中元気に過ごせますが、理想的には12〜13時間近く確保できることが望ましいでしょう。

十分な睡眠時間は、子どもの記憶力や問題解決能力の発達、身体の成長に欠かせません。睡眠時間を削ってまで優先することはこの時期にはありません。小学校受験が控えている子であったとしても、睡眠時間を確保したうえで勉強や習い事をしましょう。

理想的な睡眠時間帯

就学前児の理想的な就寝時間帯は、概ね夜20〜21時頃までに就寝し、朝6〜7時台に起床するパターンです。厚労省の「早寝早起き」推進でも、幼児期から夜更かしせず朝型の生活を習慣づけるよう呼びかけています。

3〜5歳頃になると保育園や幼稚園での集団生活が始まり、朝決まった時間に起きる必要がでてきます。そのため、休日でも平日と大きくずれない起床時刻にすることが望ましく、就寝時刻も毎日規則正しく保つとよいとされています。そのためには親も休日であっても平日と同じ生活リズムで活動することを心がけましょう。

文部科学省の調査では、幼児期の子どもの平均的な就寝時刻は21〜22時台ですが、22時以降に就寝する子は年々増加傾向にあります。理想的には20~21時頃にはベッドに入るようにし、朝は自然と目覚め、太陽の光を浴びることで体内時計をリセットする習慣作りを目指したいです。

こうした習慣が小学校以降の生活リズムの基盤となります。

昼寝の必要性

3〜5歳では昼寝の必要性は個人差があります。3歳児の多くはまだ午後に1〜2時間程度の昼寝をとりますが、4〜5歳になると徐々に昼寝なしでも過ごせる子が増えてきます。

米国のデータによれば、4歳児の約40%は引き続き昼寝をしており、5歳でも約30%が日中に眠る習慣があるとされています。日本でも、保育園では年少〜年中児まではお昼寝時間を設けていますが、年長児になると「お昼寝しない」子も出てきます。これは発達に伴い夜間にまとめて必要な睡眠をとれるようになるためです。

昼寝をやめるタイミングは子どもによって異なりますが、おおむね3〜5歳の間に移行します。昼寝をしなくても夕方まで機嫌よく過ごせるようであれば無理に寝かせる必要はありません。一方、昼寝をしないことで夕方以降に極端に不機嫌になったり疲れすぎたりする場合は、短時間でも昼寝を続けたほうが良いでしょう。

ポイントは夜の睡眠に響かない範囲で昼寝をとることであり、遅い時間まで昼寝を引きずらないようにします。

睡眠不足・過剰睡眠の影響

就学前児は知的好奇心が旺盛で情緒も発達する時期ですが、睡眠不足はその健全な発達を妨げかねません。

慢性的な睡眠不足の幼児は、注意力や記憶力の低下、落ち着きのなさ(多動傾向)や情緒不安定といった問題が現れることがあります。大阪大学の研究グループは、幼児期早期に睡眠が不規則な子どもは認知機能やコミュニケーション能力、社会性の発達に負の影響が出る可能性を示しています。例えば、毎晩就寝時刻が遅く不規則な幼児は、年齢相応の社会的スキルの習得が遅れる傾向があるとの報告があります。

さらに、幼児期の短い睡眠は将来の肥満リスクとも関連します。日本の疫学研究でも、3歳時点で睡眠時間の短かった子は小学生になったとき肥満になりやすいことが示されています。

一方、推奨より極端に長い睡眠(過剰睡眠)は幼児ではあまり一般的ではありませんが、もし13時間を大幅に超えて眠る場合は何らかの睡眠障害や日中の活動不足が疑われます。過剰な睡眠はかえって夜間の睡眠の質を低下させ、昼夜逆転を招く可能性もあります。

総じて、3〜5歳では適切な睡眠確保が情緒の安定と認知発達に直結しており、不足すれば問題行動や学習意欲の低下につながるため注意が必要です。

就学前児(3〜5歳)

  • 必要な睡眠時間: 1日10〜13時間。夜間睡眠中心に。
  • 睡眠時間帯: 21時までに就寝、朝6〜7時台に起床が理想。
  • 昼寝: 必要性に個人差あり。徐々に不要になる。
  • 影響: 睡眠不足は注意力や社会性の低下、肥満リスクを高める。

推奨睡眠時間

小学生年代にあたる6〜12歳では、1日あたり9〜12時間の睡眠が推奨されます。AASMの勧告では学童期の子どもは毎日9〜12時間程度眠ることが望ましく、規則正しい十分な睡眠が学業成績や健康状態の向上に寄与するとしています。

厚生労働省も「小学生は9〜12時間程度の睡眠時間を確保すること」を推奨しており、これは各種研究で示されたエビデンスに基づいて設定された目安です。実際には高学年になるにつれ必要睡眠量は下限に近づく傾向がありますが、それでも最低9時間前後は睡眠時間を見込むべきとされています。

十分な睡眠はこの時期の子どもの記憶の定着や注意力、運動技能の発達に不可欠です。日本の子どもは睡眠不足と言われる中、小学生の頃から睡眠時間を確保する習慣を身につけておくことが大切です。

理想的な睡眠時間帯

学童期には学校生活に合わせた生活リズムが求められます。理想的には夜21〜22時までに就寝し、朝6〜7時台に起床というパターンですが、現実には学年が上がるにつれて就寝時刻が遅くなる傾向があります。

文科省の調査では、小学生でも22時以降に寝る子どもが増えており、それによって総睡眠時間が短縮する傾向が指摘されています。理想的な睡眠時間帯を確保するには、塾や習い事の後でもできるだけ早く帰宅して入浴・就寝の準備を整え、決まった時間までに床に就く習慣づけが重要です。

厚労省の睡眠ガイドでは、「小学生は早寝・早起きが得意だが、中学以降は夜更かし・朝寝坊になりがち」であるため、小学生のうちに規則正しい生活習慣を確立しておくことが望ましいとされています。

また、朝は登校時や通学途中にしっかり太陽の光を浴びることで体内時計がリセットされ、夜自然に眠くなるリズムができます。週末も平日と極端にずれた生活をしないこと(いわゆる「社会的時差ボケ」を防ぐこと)も、小学生期の睡眠衛生として推奨されます。

「朝に起きられない」という子はやはり就寝時間が遅いことが要因である場合がほとんどです。

昼寝の必要性

通常、学童期の子どもは昼寝の必要はありません。小学校に上がる頃までに昼寝の習慣は大半の子で消失し、この年齢では夜間の連続睡眠で必要量をまかなえるようになります。

ただし、個々の事情によっては例外もあります。例えば、前夜の就寝が遅く睡眠不足になっている場合や、体調不良で日中に極度の眠気がある場合には、短時間の仮眠が役立つこともあります。しかし、一般には日中に活動することで適度な疲労が溜まり、夜にしっかり眠れるというリズムが確立しています。

学校では昼寝の時間は設けられないため、日中眠くならないよう夜間の睡眠を十分とることが肝要です。もし授業中に居眠りしてしまうほど眠気が強い場合、慢性的な睡眠不足が疑われるため家庭での就寝時刻を見直す必要があります。

なお、昼寝をする場合でも20〜30分程度の短い仮眠に留め、夕方以降は眠らないようにすることが、夜の入眠に支障を来さないコツです。具体的には40分以上昼寝している場合は親が起こし、夕方4時以降は昼寝しないなどの対応が適切です。

睡眠不足・過剰睡眠の影響

学童期は学習面でも身体面でもめざましく成長する時期であり、睡眠不足の影響が多方面に現れます。

十分に眠れていない子どもは注意力や記憶力の低下、問題解決能力の障害が報告されています。カナダで行われた実験では、小学生の睡眠時間を普段より1時間削減しただけで落ち着きのなさや感情のコントロール不良が顕著になったといいます。

また、睡眠不足はこの年代の肥満リスクを高めることが数多くの研究で示されています。例えば、5〜6歳児を追跡した研究では、夜の睡眠が短い子は長い子に比べて肥満になる率が約1.5倍高いとの結果が出ています。これは睡眠不足により食欲を増進させるホルモンバランスの乱れや代謝への影響が考えられます。さらに、慢性的な寝不足の児童では高血圧のリスク増大や学童期の学業成績の低下とも関連が報告されています。

一方、過剰睡眠については、学童期では通常日中にそれほど長く眠り続けることはないものの、もし必要以上に長時間眠っている場合は睡眠の質が低下していたり(例えば、睡眠時無呼吸症候群による断続的な睡眠で長く寝ても疲れが取れない場合など)、あるいは精神的な不調(うつ傾向など)が隠れている可能性があります。

プリンストン大学の縦断研究では、9歳児において睡眠時間が短すぎても長すぎても行動上の問題が多く、健康状態が悪いことが示され、子どもにも最適な睡眠時間の範囲が存在することが確認されています。

要するに、学童期の子どもにとって睡眠不足は注意力散漫・学習意欲低下・肥満リスク増加など重大な悪影響を及ぼし、睡眠のとりすぎも通常は問題の兆候となり得るため、適切な範囲内の睡眠時間を保つことが重要です。

小学生(6〜12歳)

  • 必要な睡眠時間: 1日9〜12時間。
  • 睡眠時間帯: 21〜22時までに就寝、朝6〜7時に起床が理想。
  • 昼寝: 不要。ただし短時間の仮眠は例外的に有効。
  • 影響: 睡眠不足は集中力低下・学力低下・生活習慣病リスク上昇につながる。

推奨睡眠時間

思春期前半にあたる中学生年代(約13〜15歳)では、1日8〜10時間の睡眠が推奨されます。

AASMのコンセンサスでは13〜18歳の青少年は毎日8〜10時間程度の睡眠をとるよう勧告しており、これは米国小児科学会(AAP)も支持しています。厚労省の睡眠指針においても、中学生・高校生年代で概ね8〜10時間の睡眠確保を目標としています。

しかし実際には、思春期に入ると様々な要因でこの睡眠時間を確保できないケースが増えます。学校や塾で忙しくなること、スマートフォンやゲームなど夜更かしの誘惑、また思春期に起こる生物学的変化(夜型の傾向の強まり)によって、平均睡眠時間は推奨より短くなりがちです。日本の調査では、中学生の平均睡眠時間は約8時間未満と報告されており、推奨下限ギリギリかそれ以下の子も少なくありません。

理想的な睡眠時間帯

中学生では生活リズムの乱れやすさが課題になります。本来は小学生同様、夜22時頃までに就寝し朝6〜7時に起床する生活が望ましいですが、思春期特有の要因で夜型化しがちです。思春期になるとメラトニン(睡眠ホルモン)の分泌タイミングが遅れるため、生物学的に夜更かし傾向になります。その結果、平日夜に必要なだけ眠れず慢性的な睡眠不足に陥るケースが多くなります。

理想的な対策として、米国小児科学会(AAP)などは学校の始業時間を遅らせる提言をしていますが、現状では多くの中学校で早朝から活動が始まるため、生徒自身が早寝に努める必要があります。具体的には、部活や塾などで帰宅が遅くなっても夜更かしは最小限に抑え、決まった時刻に就寝すること、就寝前はスマホやPCの画面を見続けないこと(光源が入眠を妨げるため)、週末に「寝だめ」をしすぎて平日のリズムを崩さないことが挙げられます。朝はできるだけ一定の時間に起きて太陽光を浴び、朝食をとる習慣を維持することで、思春期でも規則正しい睡眠周期を保てます。

もし、極端に昼夜逆転し、改善しない場合は精神科の受診も検討してください。時には睡眠薬を用いた是正も必要になります。

昼寝の必要性

中学生にもなると通常は昼寝の習慣はありません。ただし、睡眠不足の補完一時的な疲労回復の手段としての短い仮眠は有用になり得ます。例えば、部活動後の帰宅後や塾に行く前などに、20分ほど目を閉じるパワーナップは集中力を高める効果があります。

しかし、夕方以降の仮眠や長すぎる昼寝は夜の睡眠に支障をきたすため避けるべきです。日中強い眠気に襲われる中学生は、前夜の睡眠不足が原因の場合が多いため、基本的には昼寝に頼らず夜間の睡眠を十分とる生活を目指します。どうしても眠い場合に短時間横になること自体は問題ありませんが、その際も30分以上寝込まないよう注意が必要です。

学校で居眠りをしないためにも、昼寝が必要ないだけの夜間睡眠(8時間以上)を確保することが理想です。

睡眠不足・過剰睡眠の影響

思春期の睡眠不足は、学業成績の低下や心身の不調と密接に関係しています。

十分に眠れていない中学生は、授業中の集中力低下や記憶力の減退が顕著になります。また、睡眠不足は情緒面にも影響し、イライラしやすくなったり、意欲の喪失や落ち込み(抑うつ傾向)を招くことがあります。さらにこの時期は自律神経やホルモンバランスが不安定なため、睡眠不足が続くと頭痛・腹痛など身体症状を訴えるケースもあります。

研究によれば、睡眠時間が8時間未満の中高生は、8時間以上眠る同年代に比べて抑うつ症状や自殺念慮のリスクが有意に高いことが報告されています。米国小児科学会(AAP)も「10代の慢性的な睡眠不足はうつ病や自傷行為のリスクを高める」と警告しています。

他にも、中高生の睡眠不足は飲酒・喫煙などのリスク行動とも関連するとのデータがあります。一方、過剰睡眠については、思春期の場合週末に過度に寝すぎることでかえって体内時計が乱れ、月曜の朝に調子が出ない「社会的ジェットラグ(時差ぼけ)」を生む可能性があります。また、極端に長時間眠る傾向が続く場合は、うつ病など精神的問題の兆候である可能性もあります。

総合的に見て、中学生では睡眠不足が学業・メンタル・身体の健康に深刻な悪影響を及ぼし得るため、8〜10時間の睡眠を確保することが強く望まれます。「寝る子は育つ」は思春期にも当てはまり、十分に眠ることで脳の整理が進み、記憶や感情の安定が図られるのです。

中学生(13〜15歳)

  • 必要な睡眠時間: 1日8〜10時間。
  • 睡眠時間帯: 夜22〜23時就寝、朝6〜7時に起床が理想。夜型傾向に注意。
  • 昼寝: 通常不要。短時間の仮眠は集中力回復に有効。
  • 影響: 睡眠不足は学力・情緒・メンタルヘルスに影響。リスク行動の関連も。

推奨睡眠時間

高校生年代(16〜18歳)も、中学生と同様に1日8〜10時間の睡眠が推奨されます。米国睡眠医学会(AASM)の勧告では13〜18歳をひとくくりに8〜10時間としていますが、高校生はその上限年齢に当たります。発達段階としては思春期後期〜青年期初期であり、身体の成長は緩やかになってきますが脳の発達(とくに前頭前野の成熟)は継続中であるため、依然十分な睡眠が必要です。

しかし、現実には、高校生の平均睡眠時間は更に短く、6〜7時間程度しか眠れていない生徒も多いのが問題視されています。受験勉強や部活、スマホやSNSなどで就寝時間が遅くなり、朝は通学のため早起きを強いられるためです。厚労省も「中・高生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保することを推奨」としつつ、我が国の高校生の睡眠不足傾向に警鐘を鳴らしています。

この時期の睡眠習慣が大学生、あるいは社会人になった後にも影響すると言われており、非常に重要な意味をもちます。

理想的な睡眠時間帯

高校生にとって理想的な睡眠時間帯は、夜22~23時前後までに就寝し、朝6〜7時に起床するパターンですが、現実的なハードルが高い場合もあります。思春期後期になると若干睡眠相が前倒しに戻る傾向もありますが、それでも多くの高校生は塾や宿題、あるいはスマホやゲームで深夜まで起きているケースが見られます。理想論としては、高校生でも22〜23時には就寝し、朝は余裕をもって起きられる生活が望ましいです。

十分な睡眠が学習効率を上げることは科学的にも示されています。例えば、米国の調査では、成績優秀な高校生ほど平日の平均就寝時刻が早く、睡眠時間が長い傾向があったという報告もあります。そのため、受験勉強で忙しいときこそ睡眠時間を削らない時間管理が重要です。

また、高校生になるとアルバイトなどで夜遅くまで活動する場合もありますが、シフトの入れすぎによる慢性睡眠不足には注意が必要です。学校が始まる早朝に向けて逆算して就寝時間を設定し、難しい場合は昼休みに10分程度の仮眠をとるなど工夫して対応します。

休日は平日より長く眠りがちですが、朝寝坊は2時間程度の延長に留めることで月曜朝のリズムを維持できます。理想的には、高校生自身が睡眠の大切さを理解し、勉強や遊びとのバランスをとってセルフマネジメントすることが求められます。

昼寝の必要性

高校生も基本的には昼寝は必要ありません。しかし、慢性的な睡眠不足を抱える生徒が授業中に居眠りしてしまうような場合、短い昼寝で補うことも検討されます。

例えば、昼休みや放課後の10〜20分の仮眠は、注意力をリフレッシュする効果があります。ただし、夕方以降の仮眠や、長時間の昼寝は夜の睡眠を妨げるので避けるべきです。高校生の場合、日中の強い眠気そのものが睡眠不足のサインであり、本来は昼寝がなくても過ごせるはずの年代です。したがって、昼寝に頼るのは根本的な解決ではなく、夜間の睡眠時間を増やすことが先決です。どうしても午後の授業で耐えられないほど眠い場合にのみ、授業間の休憩などで数分程度目をつぶって休む程度にとどめ、本格的な睡眠には入らないようにします。

総じて、高校生では昼寝は常態化させず、夜まとめて眠る習慣を維持することが大切です。

睡眠不足・過剰睡眠の影響

高校生の睡眠不足は、中学生以上に深刻な影響を及ぼす場合があります。睡眠不足が蓄積すると注意力・判断力の低下により自動車事故のリスクが高まる(この年齢帯は自動車、バイクの運転免許を取得し始める年齢でもあります)ほか、反社会的行動の可能性も指摘されています。

また、高校生は受験や人間関係のストレスも抱えやすく、睡眠不足はそれらストレスへの対処能力を低下させます。慢性的に睡眠が足りない高校生は、抑うつ症状や不安障害の発症率が高まるとの研究もあります。

加えて、睡眠不足は免疫力の低下を招き、風邪など体調不良になりやすくなることが知られています。過激な例では、米国の報告で5時間未満の睡眠の高校生は自殺を試みた率が顕著に高かったというデータもあり、高校生年代に十分な睡眠を確保することは命の安全にも関わると強調されています。

過剰睡眠については、高校生では休日に12時間以上寝だめするケースが見られますが、これ自体が直接有害というよりは平日の睡眠不足の裏返しである場合がほとんどです。ただし、必要以上に眠りすぎる生活が続くと昼夜逆転や生活リズムの乱れにつながり、かえって疲労感が抜けなくなることがあります。

また、極端に長く寝てもすっきりしない場合は睡眠時無呼吸症候群など睡眠の質の問題や、うつ状態による過眠などを疑う必要があります。

結論として、高校生では睡眠不足が精神的健康・安全面で深刻なリスクを伴うため8〜10時間の睡眠を確保することが最重要であり、併せて週末の寝すぎによるリズム崩壊にも注意しつつ安定した睡眠習慣を維持することが望まれます。実際、精神科の臨床場面でも、高校生の睡眠にまつわる受診は少なくありません。

高校生(16〜18歳)

  • 必要な睡眠時間: 1日8〜10時間。実際には不足傾向の子どもが多い。
  • 睡眠時間帯: 夜22~23時前後に就寝、朝6〜7時に起床が理想。
  • 昼寝: 基本不要。必要なら短時間(20分以内)に限定。
  • 影響: 睡眠不足は抑うつ・自殺念慮・事故・学力低下・免疫低下の原因となり得る。
参考文献・情報源

国際機関・学会ガイドライン

  • American Academy of Sleep Medicine (AASM). (2016). Consensus Statement: Recommended Amount of Sleep for Pediatric Populations. [Journal of Clinical Sleep Medicine, 12(6):785–786].
  • American Academy of Pediatrics (AAP). (2014). School Start Times for Adolescents. Pediatrics, 134(3):642–649.
  • World Health Organization (WHO). (2019). Guidelines on Physical Activity, Sedentary Behaviour and Sleep for Children under 5 years of age.

日本の行政・学会資料

  • 厚生労働省. (2023). 「健康づくりのための睡眠指針 2023(子ども編)」
  • 文部科学省. (2022). 「子供の生活習慣と学習意欲に関する調査結果」
  • 日本小児保健協会. (2016). 「子どもの睡眠と健康~小児科医がすすめる睡眠の知恵~」

医学論文・研究報告(PubMed収載)

  • Mindell, J. A., et al. (2015). Developmental aspects of sleep hygiene: Findings from the 2014 National Sleep Foundation Sleep in America Poll. Sleep Health, 1(1), 40–47.
  • Touchette, E., et al. (2007). Short night-time sleep-duration and hyperactivity trajectories in early childhood. Pediatrics, 120(4), 850–857.
  • Sadeh, A., et al. (2011). Sleep and the transition to kindergarten: A longitudinal study. Developmental Psychology, 47(2), 378–391.
  • Lo, J. C., et al. (2016). Effects of Partial and Acute Total Sleep Deprivation on Performance across Cognitive Domains, Individuals and Circadian Phases. Sleep, 39(3), 687–698.

補足的資料

  • National Sleep Foundation (NSF). (2015). Sleep Duration Recommendations: Methodology and Results Summary.
  • National Institutes of Health (NIH). (2011). Your Guide to Healthy Sleep.

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この記事を書いた人

Dr.流星 – 精神神経学会専門医。精神保健指定医。
現役の精神科医であり、父親として日々子育てに奮闘中。
日々子育てに関連のある医学論文を読み、「科学的根拠に基づいた育児」をテーマに、子どもの心と脳の発達、メンタルケアについて情報を発信しています。現役パパだからわかる子どもの発達に関するリアルな悩みに寄り添いながら、家庭で実践できるヒントも紹介。ガジェット好きでもあり、育児に役立つ家電や子育てグッズを色々と試しています。子育ての悩みを軽減し、家族のメンタルヘルスを良好に保つ…そんな子育てに役立つ知識をお届けしていきます。

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