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子どもの睡眠 ~まとめ記事~

こんにちは、Dr.流星です。

6回にわたってお届けしてきた「子どもの睡眠」シリーズも、いよいよ今回が総まとめとなります。

新生児から高校生まで、年齢ごとにどれだけの睡眠が必要なのか、どんなリズムが望ましいのか、睡眠が心と体にどう影響するのか――医学的な根拠に基づき、発達段階に応じたポイントを解説してきました。

今回は、これまでの内容を年齢別に要点だけ整理し、振り返りやすい形でご紹介します。各年齢ごとの詳細記事も併せて掲載していますので、気になるところからぜひチェックしてみてください。

子どもの健やかな成長には「眠り」が欠かせません。本シリーズが、日々の子育ての中で睡眠について考えるきっかけとなり、ご家庭のリズムづくりや見直しに役立てていただければ嬉しく思います。

今後も、子どもの心の健康や子育てに役立つ精神科的な視点からの情報を発信してまいります。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

目次

新生児(0〜3か月)

  • 必要な睡眠時間: 1日14〜17時間。数時間おきに断続的に睡眠。
  • 睡眠時間帯: 昼夜の区別はまだなし。夜は環境を静かにしてリズム形成を促す。
  • 昼寝: 明確な区別はなく、1日のほとんどを断続的に寝て過ごす。
  • 影響: 睡眠不足は機嫌・授乳リズムに影響。長時間寝すぎも栄養不足のリスク。

乳児(4〜12か月)

  • 必要な睡眠時間: 1日12〜16時間(昼寝含む)。
  • 睡眠時間帯: 夜9時までの就寝+朝7時までに起床が理想。夜間連続睡眠が徐々に形成。
  • 昼寝: 1日2〜3回。月齢に応じて徐々に回数が減る。
  • 影響: 睡眠不足は機嫌や学習力に悪影響。昼寝が多すぎると夜間のリズム崩れに。

幼児(1〜2歳)

  • 必要な睡眠時間: 1日11〜14時間(夜+昼寝)。
  • 睡眠時間帯: 夜は19〜21時に就寝、朝6〜7時に起床が理想。
  • 昼寝: 基本1回。午後の1〜2時間が一般的。
  • 影響: 睡眠不足は癇癪・情緒不安定・多動傾向に。昼寝が遅いと夜間の入眠困難に。

就学前児(3〜5歳)

  • 必要な睡眠時間: 1日10〜13時間。夜間睡眠中心に。
  • 睡眠時間帯: 21時までに就寝、朝6〜7時台に起床が理想。
  • 昼寝: 必要性に個人差あり。徐々に不要になる。
  • 影響: 睡眠不足は注意力や社会性の低下、肥満リスクを高める。

小学生(6〜12歳)

  • 必要な睡眠時間: 1日9〜12時間。
  • 睡眠時間帯: 21〜22時までに就寝、朝6〜7時に起床が理想。
  • 昼寝: 不要。ただし短時間の仮眠は例外的に有効。
  • 影響: 睡眠不足は集中力低下・学力低下・生活習慣病リスク上昇につながる。

中学生(13〜15歳)

  • 必要な睡眠時間: 1日8〜10時間。
  • 睡眠時間帯: 夜22〜23時就寝、朝6〜7時に起床が理想。夜型傾向に注意。
  • 昼寝: 通常不要。短時間の仮眠は集中力回復に有効。
  • 影響: 睡眠不足は学力・情緒・メンタルヘルスに影響。リスク行動の関連も。

高校生(16〜18歳)

  • 必要な睡眠時間: 1日8〜10時間。実際には不足傾向。
  • 睡眠時間帯: 夜23時前後に就寝、朝6〜7時に起床が理想。
  • 昼寝: 基本不要。必要なら短時間(20分以内)に限定。
  • 影響: 睡眠不足は抑うつ・自殺念慮・事故・学力低下・免疫低下の原因となり得る。

各年齢段階を通じて言えることは、適切な睡眠習慣(十分な睡眠時間の確保と規則正しい就寝・起床リズム)が子どもの健全な発育・発達に不可欠だという点です。睡眠中には成長ホルモンの分泌や記憶の整理、細胞の修復が行われ、心身の成長を支えます。そのため、慢性的な睡眠不足は身体的成長の遅れ、認知機能の低下、情緒面の不安定、問題行動の増加、生活習慣病リスクの上昇など多岐にわたる悪影響を及ぼします。一方で過剰な睡眠も、子どもの場合は多くありませんが、極端な長時間睡眠は何らかの不調を示す可能性があります。子どもの年齢に応じた適切な睡眠時間と生活リズムを家庭・学校で支援し、「寝る子は育つ」という言葉通り十分な睡眠をとることが、子どもの健康な発育・学習・生活の土台となります。

参考文献・情報源

国際機関・学会ガイドライン

日本の行政・学会資料

医学論文・研究報告(PubMed収載)

  • Mindell, J. A., et al. (2015). Developmental aspects of sleep hygiene: Findings from the 2014 National Sleep Foundation Sleep in America Poll. Sleep Health, 1(1), 40–47.
    https://doi.org/10.1016/j.sleh.2014.12.002
  • Touchette, E., et al. (2007). Short night-time sleep-duration and hyperactivity trajectories in early childhood. Pediatrics, 120(4), 850–857.
    https://doi.org/10.1542/peds.2006-1874
  • Sadeh, A., et al. (2011). Sleep and the transition to kindergarten: A longitudinal study. Developmental Psychology, 47(2), 378–391.
    https://doi.org/10.1037/a0021804
  • Lo, J. C., et al. (2016). Effects of Partial and Acute Total Sleep Deprivation on Performance across Cognitive Domains, Individuals and Circadian Phases. Sleep, 39(3), 687–698.
    https://doi.org/10.5665/sleep.5552

補足的資料

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この記事を書いた人

Dr.流星 – 現役の精神科医であり、父親として日々子育てに奮闘中。
「科学的根拠に基づいた育児」をテーマに、子どもの心と脳の発達、メンタルケアについて情報を発信しています。現役パパだからわかる子どもの発達に関するリアルな悩みに寄り添いながら、家庭で実践できるヒントも紹介。ガジェット好きでもあり、育児に役立つ家電や子育てグッズを色々と試しています。子育ての悩みを軽減し、家族のメンタルヘルスを良好に保つ…そんな子育てに役立つ知識をお届けしていきます。

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