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【専門医が解説】4〜6歳の習い事は何がいい?習い事の前に考えたい、発達に大切な7つの経験と選び方を解説

こんにちは、Dr.流星です。

「周りの子がスイミングやピアノを始めているけれど、うちも何かやった方がいい?」

「4歳、5歳の大事な時期に、何を経験させておけばいいんだろう?」

幼児期の子どもを育てていると、一度はこんなことを考えるのではないでしょうか。

特にSNSなどで「幼児期が大切」「○歳までに○○を」といった情報を見ると、何もしないまま大事な時期を逃してしまうのでは……と焦ることもあります。

しかし、結論からいうと、4〜6歳の子どもに「これだけは習わせておくべき」という習い事はありません。

大切なのは、習い事の数を増やすことよりも、体を動かす、話す、作る、人と関わる、自然に触れるなど、さまざまな経験ができることです。AI時代ではこういった体験活動が特に重要になると考えられます。

精神科医として子どもの発達やこころについて考えてきた視点と、私自身も子育てをしている父親としての視点から、4〜6歳の時期に大切にしたい経験と、習い事の選び方を整理していきます。

目次

4〜6歳は、運動、言葉、感情のコントロール、友達との関係など、さまざまな力が発達していく時期です。

だからといって、それぞれの能力を伸ばすために習い事をたくさん入れる必要はありません。

幼児期にとって重要な学びの場は、日常生活そのものだからです。

公園を走る。

虫を探す。

ブロックで家を作る。

親と絵本を読む。

友達とおもちゃを取り合って喧嘩し、また一緒に遊ぶ。

夕食のお皿を運ぶ。

こうした何気ない経験の中にも、子どもが考え、体を動かし、感情を調整する機会があります。

習い事は、こうした経験を増やすための「選択肢のひとつ」と考えるのがよいでしょう。

①走る・跳ぶ・投げるなど、体をたくさん動かす

幼児期には、特定のスポーツを極めることよりも、いろいろな体の動きを経験することが大切です。

走る、跳ぶ、登る、ぶら下がる、投げる、蹴る、転がる。

文部科学省の「幼児期運動指針」でも、幼児期には遊びを通して多様な動きを経験することが重視されています。

最近のメタ解析でも、身体活動を取り入れた介入によって、幼児の抑制力やワーキングメモリなどの実行機能にプラスの変化がみられる可能性が報告されています。

だからといって、「頭をよくするために運動させよう」と考える必要はありません。

公園遊びでも、鬼ごっこでも、ボール遊びでも構いません。

まずは子どもが楽しく体を動かしていることが大切です。

この目的で習い事を選ぶのであれば、体操、水泳、ダンス、球技などが候補になります。

②歌・リズム・楽器など音楽を楽しむ

歌を歌う、音に合わせて踊る、楽器を鳴らす。

こうした音楽活動も幼児期に取り入れやすい経験です。

近年のメタ解析では、3〜6歳の子どもを対象とした音楽活動によって、抑制制御、ワーキングメモリ、認知的柔軟性といった実行機能に一定の改善がみられたと報告されています。

ただし、「ピアノを習えば頭がよくなる」と単純に考えるべきではありません。

研究で扱われる音楽活動にも、歌、リズム、楽器などさまざまなものがあります。

家庭で音楽を流して一緒に踊ったり、歌ったりするだけでも、幼児にとって十分に楽しい音楽体験になります。

子ども自身が音楽を楽しんでいるなら、ピアノや音楽教室などを体験してみるのもよいでしょう。

③絵本や会話を通して言葉に触れる

幼児期は、言葉が大きく発達する時期です。

その土台になるのが、身近な大人との会話や絵本の読み聞かせです。

親子の共有読書を扱ったランダム化比較試験のメタ解析でも、子どもの表出言語・受容言語への小〜中程度のプラスの効果が報告されています。

大切なのは、「1日○冊読まなければ」とノルマにすることではありません。

同じ絵本を何十回読んでもいいですし、途中で子どもが絵を指さして話し始めたら、そこから会話が広がっても構いません。

「読むこと」そのものより、本をきっかけに親子で言葉をやり取りする時間を楽しめれば十分です。

英語などの外国語についても、本人が楽しんでいるのであれば触れること自体に問題はありません。

ただし、「将来の能力を上げなければ」という焦りより、歌や絵本などを通して別の言葉を楽しむ経験として考えるのがよいでしょう。

実は「幼児期から絵本をたくさん読んだら、または外国語を習えば実行機能が高くなる、勉強ができるようになる」といった単純な結論は、現在の研究では支持されていません。

④お絵描き・工作・ごっこ遊びで自由に遊ぶ

お絵描き、粘土、折り紙、ブロック。

お店屋さんごっこやヒーローごっこ。

一見ただ遊んでいるように見えても、子どもはその中で、

「次はどうしよう」

「これは何に見立てよう」

「私は店員さん、あなたはお客さん」

と、考えたり、人と調整したりしています。

ごっこ遊びと社会性・感情調整などの発達には関連がみられますが、「ごっこ遊びをすれば必ず○○能力が伸びる」とまで断定できるものではありません。

それでも幼児期には、大人から正解を与えられず、自分で遊び方を決められる時間を十分に確保したいところです。

習い事や教材で予定を埋めすぎると、この「何をするか自分で決める時間」が少なくなってしまいます。

自由な設定で遊ぶ時間をつくるためにも生活には十分な余裕を持たせましょう。

⑤自然の中で五感を使って遊ぶ

自然体験というと、キャンプや登山を想像するかもしれません。

しかし、もっと身近なもので十分です。

公園でどんぐりを拾う。

落ち葉を踏む。

虫を観察する。

水たまりに入る。

花の匂いを嗅ぐ。

こうした体験も立派な自然遊びです。

自然を取り入れた幼児教育と、自己調整、社会性、遊びなどとの間にプラスの関連を報告した研究はあります。ただし、研究の確実性はまだ高くなく、「自然に触れれば能力が伸びる」と断定できる段階ではありません。

それでも、外で自由に体を動かし、自分で面白いものを見つける時間には大きな価値があります。

「教育になるか」より、親子で面白がってみる。それくらいでよいと思います。

自然から得るものは、ゲームやドリルよりも刺激や好奇心に溢れていますね。

⑥友達と遊び、譲ったりぶつかったりする

4〜6歳になると、子ども同士の遊びも徐々に複雑になります。

順番を待ったり、ルールを決めたり、

「それ貸して」
「いや」
「じゃあこっち使う」

と交渉したり。

もちろん毎回きれいに解決するわけではありません。

おもちゃを取り合って泣いたり、「もう遊ばない!」となったりすることもあります。

しかし、それも人間関係を学ぶ過程です。

親がすべてのトラブルを先回りして防ぐより、安全を確保しつつ、子ども同士でやり取りできる部分は見守ることも大切です。

一方、人との関わりが苦手な子に、大人数の集団遊びを無理強いする必要もありません。

その子が安心できる人数や環境から経験を広げていきましょう。

「放置」も「過保護」も本人の成長を妨げる可能性があります。見守るところと手助けするところを見極めたいですね。

⑦お手伝いや身の回りのことなど日常生活を自分でやってみる

幼児期に経験させたいことは、「教育的な遊び」だけではありません。

服を着る。

ボタンを留める。

食器を運ぶ。

洗濯物を入れる。

料理を少し手伝う。

こうした日常生活にも、手先を使う、手順を覚える、自分の役割を持つといった経験があります。

親がやった方が圧倒的に早いので、子どもに任せるとなかなか進まないのですが、幼児期は「上手にできること」より自分でやってみる経験も大切です。

全部を一人でやらせる必要はありません。

「ここまではお願い」と、小さな役割から始めてみてください。

「習い事」じゃなくとも、日常生活の中で「習う」ことは多くありますよね。

ここまで読んで、

「では結局、何を習わせればいいの?」

と思うかもしれません。

私なら、「習い事」そのものより次の点を重視します。

1.子ども自身が楽しそうか

体験後に「また行きたい」と言うかは重要なサインです。

2.年齢に合った“遊び”が含まれているか

4〜6歳では、大人と同じような反復練習だけを長時間続けるより、遊びながら経験できる教室の方が合う子も多いでしょう。

3.先生と子どもの相性がよいか

有名な教室かどうか以上に、先生が「その子」の反応を見ながら関われるかを確認します。

4.子どもと家庭全体に余裕が残るか

送迎で毎週疲れ切ってしまったり、夕食や睡眠時間が大幅に遅くなったりするなら、得られるものとのバランスを考える必要があります。

5.途中でやめてもいいと思えるか

4歳で興味を持ったものが、6歳では変わることもあります。

「一度始めたから絶対続けなければ」と考えすぎないことも大切です。

気軽に始めるのもいいですが、無理に続けないようにしたいですね。

発達には大きな個人差がありますが、ざっくりした目安はあります。

4歳ごろは、体を使った遊び、音楽、真似、簡単なルールのある遊びなどを楽しみやすい時期です。上達より「楽しい」「またやりたい」を優先します。

5歳ごろになると、少し長く活動を続けたり、ルールを理解したり、友達と一緒に取り組んだりできる子が増えてきます。本人の「これが好き」という興味も見えやすくなります。

6歳ごろは就学が近づき、生活リズムや自分のことを自分でする力も重要になってきます。文字や数字への興味も広がりますが、小学校入学前に先取り学習を完成させなければならないわけではありません。

年齢はあくまで目安です。「○歳だからこれをやらせる」より、今のわが子が何を面白がっているかを見る方が役に立ちます。

親子のやり取り

子どもが、

「見て!」

と言ったときに、

「本当だね」

と返す。

子どもが話したことに、大人が反応する。

こうした往復のコミュニケーションは「サーブ・アンド・リターン」と呼ばれ、子どもの言語や社会性などの発達を支える重要な関わりと考えられています。

もちろん四六時中、完璧に付き合う必要はありません。親にも仕事や家事があります。大切なのは「特別な知育をする」より、普段の会話の中で子どもの興味に時々付き合うことです。

読み聞かせ

高価な教材を用意しなくても、絵本は家庭で取り入れやすい言葉の体験です。

毎日できない日があっても構いません。

「今日はこれ読んで」

と言われた日に一緒に楽しむところから始めてみてください。

親も一緒に楽しめる時間にしたいですね

睡眠と生活リズム

習い事より先に守りたいものの一つが睡眠です。

睡眠時間の推奨は年齢によって異なり、米国睡眠医学会では3〜5歳は昼寝を含め10〜13時間、6〜12歳は9〜12時間が目安とされています。

習い事を入れた結果、帰宅、夕食、入浴、就寝がどんどん遅くなるのであれば、一度スケジュールを見直した方がよいでしょう。

子どもの成長に関して、「睡眠」に勝るものはありません。

スクリーンとの付き合い方

スマートフォンやタブレットを「悪」と考える必要もありません。

2026年に米国小児科学会が示した新しい考え方では、単純な利用時間だけでなく、

「何を見ているか」
「誰と使っているか」
「睡眠、運動、読書、遊びなどを圧迫していないか」

を見ることが重視されています。

幼児では短めに区切ることを意識しつつ、親子で一緒に見て話す、質の高いコンテンツを選ぶ、寝る前は避けるなど、家庭に合ったルールを作る方が現実的です。

「子どもが何の動画を観ているか知らない」のは管理できていないサインと言えるでしょう。

習い事には多くのメリットがありますが、多ければ多いほどよいわけではありません。

たとえば、

  • 就寝時間が遅くなってきた
  • 朝なかなか起きられない
  • 毎回かなり強く行くことを嫌がる
  • 自由に遊ぶ時間がほとんどない
  • 休日まで予定で埋まっている
  • 親も送迎で疲れ切っている

という状態であれば、一度スケジュールを見直してみてもよいでしょう。

特に幼児期には、「何も予定がない時間」も決して無駄ではありません。

子どもも疲れている、親も疲れている、そんな状況で続けた方がいいのかは、一度見直してみましょう。

習い事はいくつくらいがいい?

医学的に「○個が最適」という数字はありません。

個数よりも、睡眠、食事、家族の時間、自由遊びが確保できているかで考えることをおすすめします。

1つでも十分ですし、何もしていなくても、日常生活の中でさまざまな経験ができていれば問題ありません。

子どもが習い事を嫌がったら、すぐやめる?

一度嫌がっただけなら、「今日は疲れている」「友達と何かあった」など別の理由かもしれません。

一方、何週間も強く嫌がり続けているなら、

「なぜ嫌なのか」
「活動そのものが嫌なのか」
「先生や環境が嫌なのか」

を確認してみます。

辞めることも失敗ではありません。

英語は早く始めた方がいい?

幼児期から外国語の音に触れること自体はできますし、本人が楽しんでいるのであればよい経験でしょう。

ただし、「幼児期から英語を習えば認知能力そのものが高くなる」と断定できるエビデンスはありません。

焦って始める必要はなく、家庭の方針と子どもの興味で考えてよいと思います。

繰り返しになりますが、

4〜6歳になると、

「せっかく吸収力が高い時期なのだから、何かしてあげなければ」

と思うことがあります。

ただ、幼児期の発達を支える経験の多くは、特別な教室の中だけにあるものではありません。

公園を走る。

親と本を読む。

歌う。

工作する。

友達と喧嘩する。

お皿を運ぶ。

どんぐりを拾う。

こうした一つひとつも、子どもにとっては立派な「学び」です。

習い事を選ぶなら、「将来役に立つか」だけでなく、

「この子は今、これを楽しんでいるか」

をぜひ見てみてください。

全部を経験させる必要もありません。

まずは今回紹介した中から、一つでも日常生活に加えてみるくらいで十分です。

子どもの反応を見ながら、それぞれの家庭に合った経験を少しずつ増やしていきましょう。

参考文献・情報源
  • 文部科学省.幼児期運動指針.
  • Liu W, Wang Z, Yi J, Li X. The effects of physical activity on executive function in preschool children: a meta-analysis of randomized controlled trials. Front Psychol. 2026;17:1882118.
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  • Dowdall N, Melendez-Torres GJ, Murray L, Gardner F, Hartford L, Cooper PJ. Shared Picture Book Reading Interventions for Child Language Development: A Systematic Review and Meta-Analysis. Child Dev. 2020;91(2):e383-e399.
  • Lowe CJ, Cho I, Goldsmith SF, Morton JB. The Bilingual Advantage in Children’s Executive Functioning Is Not Related to Language Status: A Meta-Analytic Review. Psychol Sci. 2021;32(7):1115-1146.
  • Lillard AS, Lerner MD, Hopkins EJ, Dore RA, Smith ED, Palmquist CM. The impact of pretend play on children’s development: a review of the evidence. Psychol Bull. 2013;139(1):1-34.
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  • Johnstone A, Martin A, Cordovil R, et al. Nature-Based Early Childhood Education and Children’s Social, Emotional and Cognitive Development: A Mixed-Methods Systematic Review. Int J Environ Res Public Health. 2022;19(10):5967.
  • Center on the Developing Child at Harvard University. Serve and Return: Back-and-forth exchanges.
  • American Academy of Sleep Medicine. Child Sleep Duration Health Advisory.
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  • White EM, DeBoer MD, Scharf RJ. Associations Between Household Chores and Childhood Self-Competency. J Dev Behav Pediatr. 2019.
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この記事を書いた人

Dr.流星 – 精神神経学会専門医。精神保健指定医。
現役の精神科医であり、父親として日々子育てに奮闘中。
日々子育てに関連のある医学論文を読み、「科学的根拠に基づいた育児」をテーマに、子どもの心と脳の発達、メンタルケアについて情報を発信しています。現役パパだからわかる子どもの発達に関するリアルな悩みに寄り添いながら、家庭で実践できるヒントも紹介。ガジェット好きでもあり、育児に役立つ家電や子育てグッズを色々と試しています。子育ての悩みを軽減し、家族のメンタルヘルスを良好に保つ…そんな子育てに役立つ知識をお届けしていきます。

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